会社存続の最重要課題

(株)河野コンサル 代表取締役社長 河野 一良
25年間事業承継のプロとして携わった経験上思うことは、「承継を上手くできるかどうかは、会社の存続を本当に考えているのかが明確になっているかいないか」で決まるようです。真剣に考えている企業は、自社株式の分散を嫌い、後継者の教育に重きをおきます。そうでない企業は、オーナー様個人のことを最優先に考え、自社株式の対応も相続時のことに重きを置くようです。その為、タイミングを逸し対応が遅くなります。自社株式は分散に向かい、一族内で相続争いや社内での政権争いが生じ、後継者は株式の買い取りや働きの悪い同族役員の排除に労力と時間を取られ、経営に集中できず業界から消えていくのです。
私が経験した多くの事例を見たり、失敗事例を後継者と解決してきたことを踏まえ、会社の存続についての最重要課題は、「同族内において紛争の原因を作らないこと」だと思います。世のために特に注意すべきことは、自社株式(経営権)を後継者に集中させることです。言うことは簡単ですが、優良で高収益・歴史があり高名なオーナー企業ほど何故かこの面で問題が多い。日本の民法は、子供が後継者として大きな責任を引き継ぐかどうかは関係なく、子供の相続権割合を平等、相続税法は、自社株式を未上場であっても個人の土地や預金と同じに評価、会社法は、オーナー取締役もそれ以外の取締役も同じ権限を持つ。(実際の責任は、全てオーナー経営者が負担させられるのに)。このように、オーナー企業を取り巻く法的制限は、会社の存続において次の代に引き継ぐことを難しくしていると思います。オーナー企業に精通している以外の専門家では、法律に基づくアドバイスのため反対になることが多いのです。以上のことより存続を最重要課題としている優良オーナー企業ほど、オーナー様が元気で気力のある間に事業承継対策を実施することが大切だと思います。事業承継対策で重要な考え方を申しますと、①優良企業の自社株式・事業で使用している不動産・自社への貸付金など子供の争いの原因になる個人の財産と評価されるものは個人所有から除き、持たないことです。②オーナー企業のオーナー様は、子供に相続税を払わせることは止め自分で用意する。③できるだけ使いきれない財産は無くす。この3点に重きを置いて対応すれば間違いは少ないと思います。
日本の国力は減少傾向にあります。高齢化は激しく国の財政は厳しくなる一方、法人・個人への課税への増税は免れず、特に相続税は以前の70%に向かうでしょう。事業承継の問題解決は、より難しくなるのではないかと心配です。相続倒産などにならぬよう経営と並行して検討の上タイミングを逸しないようにしましよう。

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