事業承継でのオーナーと後継者

(株)河野コンサル 代表取締役社長 河野 一良
オーナーの殆どが「俺は死なない」と考えている節があります、理論上は人間は必ず死ぬことは理解しているのですが。そのため経営負担に耐え切れなくなるか(80歳以上)病気になるかまで自ら引き継ぎをする気はないようです、しかし家族・会社内・銀行などの取引先は事業承継の不安を持っています。特に後継者と決まっている子供がいる会社はいつどうなるかを気になって我慢しているケースが多くオーナーの集会・後継者の集会でこの話題が多いのもこのためだと思われます。引き継ぎのタイミングはオーナーの肉体・精神・会社の状況などから決まるケースが殆どですが「誰が鈴をつけるか」が難しいのです、私は会社の最も重要である自社株式の引き継ぎ目的の仕事をしていますが時に鈴付役を自社株対策の一貫として担う時があります。
社長職を後継者に渡す決断を行う時の社長は厳しく寂しい顔になります、人生の大半をつぎ込んできた会社を子供とはいえ渡すには相当な勇気がいるのです。一方後継者の方は親の背中を見てきた経験から100%満足しているかどうかは疑問です、そのため引き継ぐ期日が決まらないのです、この隙間を埋めることが出来るかどうかで引き継ぎのバトンタッチがスムーズに行われるかが決まります、そのためには仲人役も必要だと思います。引き継ぎの隙間が詰まればお互いの希望や期待も受け入れられ引き継ぎの進行も早まるのです。当社が提案し自社株式の対策を社長に説明理解していただいたうえで契約し対策実行しますが、後継者に対し株式を引き渡すケースで多額の費用が発生する場合、社長は自社株の重要さ、対策の必要性を認識してやむを得ないと決断しているのですが恩恵を被る側の後継者は若くまだ知識も浅く対策を説明されても認識は低い、そのためにアンマッチが生じ嫌なら中止だともいえず悩む、このようにお互いの認識度に隔たりがあると自社株の引き継ぎもうまくできない、会社が引き継いでいく価値があるか・後継者の手腕は・自社株式の対策は出来ているか・借入がある場合の保証は・取引先の理解は・社内の理解は等多方面の引き継ぐための条件が数多くあるのです、その上でオーナーの決断が必要になるのですから実際のバトンタッチは簡単にはできないのです。引き継ぐタイミングを逸する会社が多いのもこのためだと思います。
後継者の経営者教育(王道教育)の機会は数多くあるのですが引き継ぐために必要であるオーナー企業としての知識・心構えを教育する機関は今のところ日本には無いようです。河野コンサルではこの問題が中小企業の事業承継に大きな悪影響を及ぼしていることを500社以上の会員先からの問診により感じ取ったことから「後継者育成塾」を2011年2月より開始し社内にいて後継者と決定しているオーナーの子弟のみを集め親子間の隙間を少しでも埋め事業承継がうまくできるように支援活動を始めています。次回は「オーナー企業の後継者」です。

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