非上場株式の価値って?? Vol.1

株式会社河野コンサル
コンサルタント 北口 勝也

そもそも物の価格はどうやって決められるのでしょうか。
デジタル大辞泉によりますと、経済学の理論上の市場状況の一で、ある財について多数の供給者と需要者がおり、誰もが現在価格を左右する影響力をもたず、自由に競争が行われる状態である完全競争において行われるならば、同一時点・同一市場では、同質の商品には一つの価格しか成立しないという経済法則(一物一価の法則)により決められると説明されています。

世の中に流通しているほとんどの物は、通常この法則にあてはまり、一つの物には一つの価格が決まっています。

非上場株式は、この法則にあてはまらないモノになります。
理由は、上場株式と比べれば分かりやすいと思います。

上場株式は、証券取引所に上場され、毎日証券取引所がその株式の価格がいくらか発表しています。市場で買う場合は、誰が買おうと同じ値段になります。これが一物一価になります。
一方で非上場株式は、文字通り上場しておらず市場に流通していない株式ですので、一物一価の法則に定義される完全競争の状態にあるとは言えず、価格を客観的に決められない状態になりますので、この法則には当てはまらないモノになるのです。

では、非上場株式の価格はどのようにして決まるのでしょうか。
直感的に思いつくのは、その会社の貸借対照表の自己資本だと思います。
仮に会社を清算する場合ですべての資産・負債を簿価で精算したときは、純資産(自己資本)の金額が株主のものとなりますので、株主は自分が出資した割合に応じて自分に分配されますから、純資産を発行済株数で除して算出した額が、株の価格と考えられます。
会社の成立の根本を考えると、この計算式によることが自然な気がします。
しかし、この計算式がどんなケースでもあてはまるかというと、そうはいきません。
会社は継続していくことを前提に存在しているものですから、株主がいつでも、その価格で払い戻しを受けることができるかというと、会社の運営・資金繰りがありますから、無理があります。会社があらかじめ準備をしている場合を除き、重要な決議になりますので、株主総会で決定すべき事項になります。
また、その株主総会を開くこと自体も取締役会の決議や株主の出席数・多数決の問題をクリアする必要があるなど、株主・取締役の立場からある程度の権限を持てる出資割合を持つ株主に限られるのが実情になってきます。

そうしますと、例えば株主に相続が起こった場合において、このようなある程度の権限を持つ株主(支配株主)とそうでない株主(少数株主)どちらも、この純資産を基にした計算式により、この株式の価格として相続財産とされるのは、合理的とはいえません。

そこで、この場合においては、少数株主がその会社の株式を持つことで期待するのは配当で主であるという考え方により、過去の配当実績から算出する計算式が存在します。

結果、同じ会社の株式であるにもかかわらず、まったく違う価格になるわけです。

以上はほんの一例ですが、市場がないため、株式という財産が移動する際に、その株式数や移動元・移動先の意図及び状況により、その非上場株式の価値は変動するのです。

今後は、その時々に合った合理的な株式の価格を算出する方法についてお話していきたいと思います。

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