大王製紙事件から学ぶこと

株式会社河野コンサル

執行役員 コンサルタント 太田 久也

事件の概要
前会長が会社から約100億円を借り入れ、カジノにつぎ込んだことを受け、創業家出身の経営陣が退陣、さらに、この事件を機に創業家の影響力を薄めるべく、創業家の持つ株式買い取りにあたって、創業家と現経営陣が交渉をすすめましたが、株価をめぐる意見の相違、信頼関係の破綻から、交渉が決裂、さらに、創業家が支配権を持つグループの中核会社において、創業家が現経営陣を全員解任し、新たに創業家の息のかかった新役員を選任して、完全に創業家と現経営陣が対立関係になってしまったというのが事件の概要です。

もめても誰も得しない
今回の騒動により、顧客離れ、従業員の士気低下、銀行からの視線が厳しくなる等、会社としての力が弱くなることは避けられません。
競争に負けて衰退していくならばいざ知らず、内輪もめで分裂して、会社が衰退していくならば、悔やんでも悔やみきれません。
したがって、是非この事件を他山の石とし、会員の皆様方におかれましても、“もめないように、もめる原因をなくしておく”という観点からの事業承継対策を進められることが望まれます。

後継者教育の重要性
今回の事件、会社からお金を借りて、ギャンブルに使ってしまった行為は、道義的には経営者として許されるものではありません。しかし、創業家が支配権を持つグループの中核会社において、現経営陣を全員解任し、創業家側の新役員が選任されていることから、改めて“会社は株主のもの”であるということを思い知らされたと思います。
そして、今回の事件の原因として、オーナーの命令は絶対という、大王製紙の組織風土の悪い側面ばかりがクローズアップされておりますが、現在の巨大大王製紙グループがあるのは、オーナーの強烈なリーダーシップとしての組織風土があったからこそ、というのもまた事実です。
これからの時代、少子高齢化による内需縮小、グローバル競争時代の突入等、経営環境は今よりも確実に厳しくなることは間違いありませんが、“独裁するも独断せず”“指導者の強力なリーダーシップ”こそが、今後の企業の盛衰を左右することは間違いありません。
したがって、皆様方におかれましては、オーナー企業の特徴としての強力なリーダーシップを発揮できる体制を整えるとともに、“後継者教育”、単に知識や教養のみならず、徳をふまえた人間教育を帝王学の一つとして教え伝えることが重要なのではないかと思います。

 

Print Friendly, PDF & Email