事業承継はお元気なうちに完結させましょう

株式会社河野コンサル
シニアアナリスト 楯岡 亨
オーナー社長様と話をしていると、事業承継を“相続”のタイミングで考えられていることが非常に多いように思います。例えば、「相続税の納税猶予制度(※)を使って株式も代表権も相続で渡したらよいのでは?」という相談を受けることがあります。一定の条件を満たすことで8割の相続税が猶予されるのは確かに魅力的に感じるかもしれません。しかし、事業承継の対策を相続に任せて行うことには大きな不安が伴います。実際的には、相続をきっかけとして後継者は急激に重い責任を背負うことになり、心理的にもかなりの負担となってくることが予想されるからです。また、役員・社員からすれば経営者の急な交代にとまどいや不安をおぼえることにもなり、結果的に会社業績にまで影響を及ぼすかもしれません。
事業承継は時間をかけて仕組み作りをしていく必要があります。現在、事業承継対策の主流となっている持株会社方式を活用するならば、株式承継は社長様がお元気なときに、計画的に進めていくことができます。5~10年を掛けながら、会長・社長の併走体制で後継者を育成し、最終的なご勇退のときに合わせて持株会社の株式を後継者に譲り渡すことで、次世代への事業承継を完結させることは可能なのです。“相続”で事業承継をしようとすると、予想もしなかったような不確定要素が必ず出てきます。反対に、お元気なうちに計画的に対策を行うことで、税金が払えないのでは?という心配はなくなりますし、何よりもお身内でのもめごとを事前に防止することができます。
事業承継対策は経営判断の一つとして捉え、社長様がお元気なうちに完結させましょう。

※     平成20年に創設された制度で、発行済議決権株式総数の2/3までを上限として80%の納税猶予を受けることができる、というものです。

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