オーナー企業の自社株式の重要性

株式会社河野コンサル
代表取締役社長 河野 一良 
私は4000社を超える、オーナー企業の自社株式の相談とその解決に努力してきたが、株式の持つ重要性を理解していないのではないかと思われるケースに多々遭遇する、間違った認識の最たるものは、相続税から逃れることのみを目的に対策している事だ。毎年非課税の贈与枠を活用し、子供や孫に平等数を分散させる、このやり方は近い将来親族間の争いの基を創り出している事になる、裁判所、弁護士の介入となれば、会社経営にも悪影響が大きく、酷ければ倒産もあり得る。同族以外の役員・社員・取引先・友人等への分散は会社そのものを他人に渡したことになり、以後同族役員全て解任された事例も出てきている。長年総力を挙げて毎期の決算で利益を出し、その半分が納税額、残り半分が利益剰余金、役員賞与も取らず、配当も少ししかせず、ひたすら会社の余力を蓄えた結果、剰余金が蓄積し自社の株価が高くなり、相続税の負担額が大きくなって後継者が苦しむことになる、苦しんでいる実例を目のあたりにし、自分の所有株式を減らすことのみの考えで、分散を始めることになり会社支配において問題・トラブルを内包する事になっている。これは同族会社株式が相続財産として上場企業の株価と同等かそれ以上の価格となるように設定されており、優良企業程相続税が高額となり、会社株式を引き継げなくなるように税の仕組みがなっている為である。

また民法では相続法において、相続する子供は平等の権利をもつとなっており、後継者の子供が会社の経営に欠かせない株式が分散する事になる。天皇家は跡継ぎである皇太子が全て引き継ぐようになっている為、一族内の紛争は起きなくなっている。

日本には100年以上の歴史の有る会社が世界の43%を占めている、その理由の一つが、太平洋戦争終結迄は民法も家督相続の形態をとっており、相続においての揉め事は無かったのである、ビジネスの形も大きく変化し、高齢化の波も押し寄せつつあり、国力も徐々にではあるが衰えていく事は否めない。

増税論ばかり目立つが、会社株式の相続税負担を軽減するか、会社株式そのものを相続時相続財産から除外し、M&Aや他人への譲渡、現金化した時点で徴税するやり方に変えるべきだと考える。優良で世界と戦える、力のある中小の同族企業を温存する事は、国力低下に歯止めをかける為の国策上からも重要であると思われる。

優良な同族経営の企業は4万社程度とのデータもあり選挙の票としては力は無い、しかしこれらの企業の技術力の世界評価は、日本を世界の技術立国に押し上げている事も間違いのない事実である。益々経営の難しい環境下、努力と頑張りでハイテク技術・ノウハウを創り出し、生き残りをかけて少しでも多くの利益を出し続ける事は、経営者にとって最大の関心事であり、この考えなくしては会社の存続はあり得ない。しかし上手く経営をやればやる程、後を継ぐ子供に大きな負担をかける事になるのであれば躊躇し、利益を上げる気力が低下し、経営にブレーキがかかる事もオーナー経営者との面談時に出てくる。この様なおかしな不安を持たせることは株式の評価方法、世界一の相続税率が大きく影響しており、この問題点を失くすか大幅低下させる国の対応が待たれる。

又、国の機関が縦割り行政となっている事から、事業承継ニーズに対応する専門家が各行政別に分かれている、その為民法の相続法(弁護士)、会社法(会計士・司法書士)、税法(税理士)を見据えた上での対策が出来にくくなっている。農耕型で且つ単一民族の強さからくる、協働の精神と顧客思考の素晴らしさは他のどの国にも負けないビジネス実積と、それによる利益を叩き出す。その素晴らしさと変化への対応力を持っているのが、オーナー企業である事は間違いない。

最近の情報では世界的に企業の数は減少し一業種一社に向う、その結果サラリーマンは姿を消し、働く場所は大幅減少となり失業者が今以上に溢れる、との恐ろしい予測が出ている。この流れに対抗し我が国の、元気の源を出し続ける力を持っているのが、日本の高度成長を支えて来た中小のオーナー企業であると確信する。スピードと変化に負ける事無く新しい時代に、夢を持ち負けじ魂と根性の団体戦を展開し勝ち抜くことを期待したい。

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