事業承継の隠れた重要ポイント

司法書士法人リーガルバンク
 司法書士 小栗 尉司

ここ数年、オーナー企業の『事業承継』や『資本対策』に関する話題が新聞など各種メディアを賑わすようになりました。

それに連れて様々な書籍が刊行され、また、セミナーも多数開催されておりますが、やはり後継者の育成や相続税対策に主眼を置いたものが多いようです。

もちろん事業承継について、これらの対策は重要なポイントのひとつです。特に長年にわたって成長を続け、企業の内部留保が巨額に上る優良企業ほど、税務面に目を奪われがちとなります。

しかし、見逃されがちですが『株式(支配権)の承継』、言い換えれば創業者や企業オーナーの株式を散逸させることなく一人の後継者に承継させていくことにこそ、本当の最重要ポイントが潜んでいます。

『株式(支配権)の承継』を疎かにすると、株式は相続等により容易に散逸します。そしてこの10年ばかりの間で、上場・非上場の違いにかかわらず株主の意識は良くも悪くも経営陣に対しコンプライアンスを追求する方向に大きくシフトしました。

オーナー企業株式の外部流出は株主に起因するトラブルを誘発し、最悪の場合、企業存続の危機を招く結果となりかねません。

日本の企業はそのほとんどすべてが中小企業であり、経営者やその親族によって株式が保有され、経営も同族によって行われる、いわゆるオーナー企業(ファミリービジネス)です。

これらの企業の株式承継を円滑に進め、相続を『争族』としないことは、オーナー家のみならずその企業の従業員や家族、その取引先を守ることであり、ひいては地域社会や日本全体を守ることでもあるのです。

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