非上場株式の評価方法が変わる!?

甚田総合会計事務所
税理士 梶浦 光史

(1)はじめに
平成24年3月2日、東京地方裁判所において、税務署側(=国)が敗訴する画期的な判決が下されました。なんと、訴えた納税者Xに課された約50億円の更正処分を取り消す判決が言い渡されたのです。
この裁判が画期的である理由は、その取り消す対象となった金額だけでなく、相続税申告において、「非上場株式の評価を行う場合には、税務署の取扱い通達である“財産評価基本通達”(以下、評価通達)に従って行わなければならない。」という“実務上の常識”が覆されたからです。
この裁判については、全面的に敗訴した税務署側が東京高裁へ控訴しており、確定したものではりませんが、控訴審の結果いかんによっては、非上場株式の評価方法が変わることになりそうです。
(2)税務署と納税者Xの間で争われた点

(3)なぜ、税務署(=国)が負けたのか?
平成2年の評価通達改正によって、資産構成が著しく株式に偏っている会社を「株式保有特定会社」として、その判定基準である株式保有割合(大会社の場合は25%以上)及び評価方法が定められました。この通達改正は、バブル期に横行した「意図的な評価額引き下げ行為」を防止することを目的とし、その際、設定された株式保有割合は、平成2年当時の資本金10億円以上の会社の株式保有割合である「8%」を参考基準としました。
納税者の主張のポイントは、この“参考基準”でした。
独占禁止法、旧商法改正等を経て、税務署より更正処分を受けた当時の上場会社の株式保有割合は「約16%」まで上昇していました。
この割合を参考基準にすると、平成2年の評価通達改正において設定された「25%」は、“著しく株式に偏った”割合とは言えず、評価通達を一律適用することに合理性はないと主張し、裁判所がその主張を認めたのです。
今回の裁判は、税務署による“通達行政”に一石を投じた点で意義深いものです。評価通達改正の可能性を含め、今後の控訴審の行方に注目をしていきたいと思います。

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