税理士から見た資本政策 ~100%減資~(前)

早川会計事務所
税理士 早川 智之 

2年前の確定申告時期に、株の譲渡所得に関して、相談者から質問を受けました。
-JALの株が紙くずになったが、税務上どういう取扱いになりますか?-

JALは平成22年1月に関連会社2社とともに会社更生法の適用を申請し、経営破綻しました。その翌月上場廃止になり、ご存知のとおり、その2年7ヶ月後の平成24年9月に東証一部に再上場を果たしました。
JALはその間に人件費の削減などの再建策を実施しましたが、その再建策の一つとして100%減資を行いました。

減資といいますと、1億円から5000万円というように資本金の金額を減らすことですが、100%減資は資本金をゼロにする減資をいいます。企業の再建では100%減資と同時にスポンサーが増資を引き受け、そのスポンサーのもと再建を果たしていくことになります。

全部取得条項付種類株式を用いれば、全株主の同意を得られなくても、全株主の株式を強制的に買い上げることができます。経営破綻の状況ですと、債務超過の状態ですので、ゼロ円で買い上げることになります。

会社の支配権をがっちり握るためには3分の2以上の議決権を握る、極端に言えば99.9%の議決権を握れば確固たる支配権を握ることができるのですが、100%減資をすることにより既存株主の全てを入れ替えることができますので、企業再生上、そこに100%減資の大きな意義があるのだろうと思います。

減少した資本金はどこに行くかといいますと、欠損填補に充てられます。繰越利益剰余金のマイナス残高を減らすために、減少した資本金を充てます。

減資では純資産の部の計数が変動するだけですので、資産・負債の金額には影響を及ぼしません。したがって、減資をしただけでは債務超過の状態が解消することはありません。

債務超過を解消するためには、資産を増やすか、負債を減らすしかありませんので、新たなスポンサーに増資を引き受けてもらい、資産を増やすか、金融機関等から債務の免除を受けて、負債を減らすことになります。

 

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