平成25年度地価変動について

立信事務所
不動産鑑定士 駒井 誠司iStock_000017946812Small

不動産市場は、平成25年3月末には買手市場から売手市場に完全に転じ、7月末現在時点では売り物件が皆無の状況にあり、地価は上昇局面を迎えておりますが、第8次土地ブームと成り得るのかが最大の関心事でしょう。

毎年、地価が公示価格や路線価等として公表されていますが、不動産業者でないと時価をタイムリーに把握するのは難しいものです。バブル崩壊後の平成9年を境に、平成20年まで地価は、都心人気商業地を中心とした上昇相場(第7次土地ブーム)にありましたが、それ以降は下落相場に転じて現在に至っています。今回、アベノミクスにより株価は上昇し、地価も上昇が期待されるところですが、本格的な土地ブームと成り得るかは、最終的には金利ではないでしょうか?

地価は、地域や品等で格差が拡大し、ムードで上昇と下落を繰り返し、投資家によって売買市場が先行する相場が形成されています。よって、株価と同様に地価も景気の影響が大きいです。「景気が良くなれば地価も上昇する」ということが言われますが、これは簡単な理由です。景気が良くなれば金利が上がり、金利が上がれば金を使うようになるだけのことです。逆に言えば、金利の上昇なくして本格的な地価の上昇はないことになりますが…。株式・商品・金等の相場においても、金利は最大の変動要因として捉えられており、地価と金利の相関関係が認められています。では、金利はどれぐらい上昇すれば良いのかですが、経済学者や統計学者の研究等をも参考に私見も交えて、約3%程度は必要ではないでしょうか!投資家だけでなく、資産家にもお金を使ってもらう利率として約3%程度は必要なようですが…。

では、地価の情報を得る方法ですが、前述したとおり不動産業者でないと実勢価格を把握するのは難しく、一般的には公示価格や路線価となります。しかし、何か月ものタイムラグを生じるため陳腐化した情報であり、また、地価には何と4種類もの価格「時価(実勢価格)・公示価格・基準地価・路線価・固定資産評価」が存在し、いずれが適正なのか一般には判断が難しいです。地価動向を把握するためには、一物四価を理解する必要があります。

①  時価…その土地が実際に取引される実勢価格のことです。不動産情報誌や新聞の折込広告(売出価格としての参考価格ですが指標となります)により認識できますが、不動産業者等の地元精通者意見により相場を把握できます。

②  公示価格…地価公示法に基づき、国土交通省の土地鑑定委員会が全国的に都市計画区域内の標準地を選び、毎年1月1日時点の標準地について公表する正常価格のことです。不動産の鑑定評価の専門家である二人の不動産鑑定士が各々別々に現地を調査し、 多数の取引事例を中心に分析して評価を行います。公示価格は、一般の土地取引の指標となり、公共事業用地取得価格の算定、相続税評価や固定資産税評価の目安として活用されています。毎年3月後半に公表されています。

③  基準地価…都道府県知事が国土利用計画法施行令に基づいて公表する毎年7月1日時点の土地価格です。1月1日時点における公示価格とともに正常価格として位置付けられています。公示地価が都市計画区域内を対象とするのに対し、基準地価では都市計画区域内及び都市計画区域外の住宅地、商業地、工業地や、宅地ではない林地も含んでいます。7月1日時点の価格が9月後半に各都道府県の公報で公告されます。

④  路線価…相続税や贈与税を算定するため、課税の対象となる財産の評価方法として国税庁が定めた価格です。税金を算定するための基準であるため、実勢価格より低く設定(公示価格等に対して約8割程度)されているのが普通です。毎年1月1日を評価時点として、地価公示価格、基準地価、売買実例価額及び不動産鑑定士等の地価事情精通者の意見価格等をもとに算出され、主要道路に面した標準的な宅地の1㎡当たりの評価額のことです。毎年7月前半に公表されます。

⑤  固定資産税評価額…固定資産税を支払う基礎となる価格です。固定資産税の課税主体である各市町村が決めます。3年毎に1月1日時点の土地価格が基準として決定されています。固定資産評価額は公示価格等に対して約7割程度の水準に設定されています。

以上、平成25年度は第8次土地ブームの兆しが見られますが、第7次土地ブームにおいて不動産の二極化が進んだ結果、現在時点において、繁華性のある商業地・需要の高い住宅地等は既に地価は上昇し、優良テナント居付のビルや利便良質なマンションにも既に投資が集中しました。投資家だけでなく、昨年夏から年度末にかけて資産の組み換えを行った資産家も多いです。最安値で投資し、最高値で処分することが理想ですが、現在時点において、適当な収益物件はありません。諸々の事情により、今後暫くの間、地価は上昇傾向にあるでしょうが、金利上昇の兆しがあるようであれば、より一層の地価上昇が予測されます。過日、黒田日銀総裁の国債に関する発言で、株価急落が生じたことは記憶に新しいところですが、情報化社会における情報の重要性を改めて痛感するものです。

(以上)

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