自社株買い(金庫株)はどのような時に行われるのか?

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司法書士 鈴木 泰幸
Appleは、本年2013年2月、株主への利益還元策を検討していると発表。4月には、2015年までに総計1000億ドル(約10兆円)の株主還元を行うと発表した。この時点で、配当を15%引き上げ、600億ドル(約6兆円)の自社株買いを行うとしている。
更に、本年10月には、物言う株主アイカーン氏が米AppleのティムクックCEOに1500億ドル(約15兆円)規模の自社株買いを強く推奨した。加えて4月30日には、これだけ金あまりしているのにもかかわらず、170億ドル(1.7兆円)の社債を発行し、借金をした。同社は、2012年、第1四半期(2011年10-12月期)決算において、1000億ドル(約10兆円)のキャッシュを持つに至った。
しかし、このApple社でさえ、1990年代後半には、倒産寸前になり、ジョブズ氏が復帰して、ここまで立て直した。2001年9月のテロ事件の時、株価が下落した時、同社は自社株買いの検討をした。この株価であれば、安く株が買えるので、会社からのキャッシュアウトは少なくて済む。しかし、ジョブズ氏は一蹴した。実際、ジョブズ氏の死まで、自社株買いは行われなかった。ジュブス氏は、その金を研究開発と再投資と経営安定資金に置いておきたかったのだろう。ジョブズ氏亡き後、一気に金の亡者が動きはじめた感がある。
それでは、日本の未上場企業での自社株買い(金庫株)はどのような時に行われるのであろう。次のような場合がポピュラーな例である。
①    会社を辞めた従業員から株を買い取る。
②    オーナーに相続が発生した時、相続資金の捻出の為、後継者や相続人から買い取る。
③    譲渡制限のある会社において、株主が第三者に株を売却したいと請求してきた時、それを承認せずに会社で買い取る。
以上のように、どちらかというと、止むに止まれずという時が多い。
今回のAppleのように、株主への利益還元という理由で、貯めた金を株主にばら撒くような事は少ない。
ただ、上記①②③の場合でも、上場しているApple社と変わりなく、以下の3点に気をつける必要がある。
①    自社株買い(金庫株)は、会社の貯金を切り崩し、キャッシュアウトする事なので、資金繰りを考えて行う事。
②    他人株主のいる会社において、社長や後継者が自社株を売却する際には、売却後の支配権に必要な議決権の割合を確保して行う事。
③    配当可能限度額の範囲でしか、買い取る事ができない事。
現在の自社株買い(金庫株)は、平成13年10月日本に導入された。前述のように、株のトラブルを会社のお金で処理できるので、有効に活用したい。

 

 

 

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