持株会社(身代わり会社)における無議決権株式活用スキーム

司法書士法人リーガルバンクClown 2
司法書士 鈴木 泰幸

従業員持株会の設立と無議決権株式の活用は持株会社(身代わり会社)と並ぶ事業承継スキームの柱であり、河野コンサルではこれまで250社以上の会員企業様に対し、持株会が保有する株式の無議決権化を実施してまいりました。
この無議決権株式ですが、もちろん持株会以外の株主にも応用が可能であり、例えば、持株会社の株式を後継者に承継させる場合にも無議決権株式を活用することができます。

【例:事業承継中のA株式会社の場合】
・オーナーは現在67歳、後継者は38歳。
・後継者は取締役として実務を担っているが、経営判断はオーナーが代表取締役としてそのほとんどを取り仕切っている。
・いずれ後継者に全株式を譲渡する予定でもあり、元気なうちに出来るだけ株式を譲りたい。また、将来的に身代わり会社の株価も上昇が見込まれている。
・その一方で経営はオーナーが取り仕切っており、現段階で株式をすべて譲ってしまうことには不安が残る。

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【対策例】
①身代わり会社株式60%を譲渡→後継者が株式の90%を保有する
②後継者が保有する株式を無議決権化する。

ポイント:財産部分は後継者に、権利部分はオーナーに
 上記図の場合、社長は保有株式でいえばわずか10%の保有ですが、議決権でいえば100%を保有しています。
 財産としての株式は、その時々の状況や事情に応じて後継者に承継させていきますが、権利(会社の支配権)としての株式は、代表取締役の椅子を譲るときまでオーナーが持ち続けます。

注意点:本体会社では、無議決権株式(持株会)を必要以上に増やさない
 このような極端な株主構成を用いるスキームは、同族、それも原則としてオーナーと後継者のみが株式を保有する身代わり会社においてのみ実行可能なものです。本体会社における無議決権株式の株主(持株会の会員)は、当然ながら同族ではなく、他人(従業員)です。
本体会社(持株会)の無議決権株式と身代わり会社の無議決権株式は、似ているようで、下記のとおりその目的は大きく違います。このことを理解のうえ、これまでも繰り返しお伝えしてきました通り従業員持株会の株式保有の上限は概ね30%に留めておいて下さい。

持株会社の無議決権株式 ⇒ 株式を後継者に譲りやすくするためのツール
本体会社の無議決権株式 ⇒ 会社と会社の株式を守るためのツール 

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