最近の議決権トラブルの事例

司法書士法人リーガルバンク
司法書士 鈴木 泰幸drawing a graph
未上場優良企業に多く見られる特徴の一つに、株の分散があります。
さらに何代にも渡り歴史を重ねられて来た企業様ほど、その傾向は強く見られるようです。
しかし、株が分散されることに伴うトラブルは数多く存在します。
そこでオーナー様には常日頃より、議決権はオーナー様と後継者だけに集中させるというご提案をさせて頂いております。 では、トラブルの一つをご紹介いたします。
株主から株の買取請求があった場合は、会社のお金で株を買い取るという手法がよく使われます。これが「金庫株」です。ところが、ある会社は買取資金がなかった為、安易に関連会社で買取りしました。
その結果、議決権が消滅してしまったという事例です。

1. 株主からの買い取り請求
オーナーに対し、親族から、身代わり会社の株を買い取ってほしい旨の申し出がありました。しかし、このとき、身代わり会社にはその資金がなかったため、本社で買い取りました。
それから2年後、会社の株主名簿をチェックしたところ、大変なことが判明しました。
(株の保有率)
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2. 消えた議決権
会社法によると、2つの会社の持ち合い比率が25%を超えると、互いに議決権を行使できないことになっています(注1)。身代わり会社が本社に対して持っていた75%の議決権は消滅し、本社の議決権は、社員A・社員B・社員Cで80%と持つ会社になっていたのです。オーナーの議決権は、わずか20%になっていました。
(注1)
会社法第308条1項括弧書
株主(株式会社がその総株主の議決権の4分の1以上を有することその他の事由を通じて株式会社がその経営を実質的に支配することが可能な関係にあるものとして法務省令で定める株主を除く。)は、株主総会において、その有する株式1株につき1個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、1単元の株式につき1個の議決権を有する。
(議決権の保有率)
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3. 議決権の復活
早急に、本社と身代わり会社の株を、互いの評価額を算出して相殺することにしました。
実際には、取引に透明性を出すため、身代わり会社は本社に、本社が持っている身代わり会社の株の28%に見合う株を売却しました。そして、その売却したお金で身代わり会社の28%の株を買い取りました。
これにより、身代わり会社の議決権は復活し、オーナー家は会社の支配権を取り戻すことができました。
(株と議決権の保有率)
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ポイント
関連会社を多くお持ちのオーナー様は、その議決権に25%を超えての会社間の株の持ち合いがないかチェックしてください。

 

 

 

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