効果を最大限引き出すための持株会社メンテナンス

株式会社 河野コンサルiStock_000012296115Small
シニアアナリスト 首藤 迅亞

趣旨
現在、ほとんどの会員様に持株会社を提案し、事業承継対策を行っていますが、今年は特に持株会社のメンテナンスが重要な年になると思います。なぜならば、今年は日経平均の影響を受けて、本社の株価が上昇するため、その株式を所有している持株会社も影響を受けることになるからです。業種によっては2倍以上上昇する会社もあり、一度、現状の株価を把握しておくことが、今後、株式の承継を計画的に行うため、かつ持株会社の効果を最大限引き出すために重要と考えます。今回はこのような趣旨から、持株会社のメンテナンスについて、押さえておくポイントをまとめたいと思います。

持株会社の考え方と効果
具体的な話の前に、持株会社の考え方について、再確認したいと思います。
私達は、持株会社のことを「身代わり会社」とも呼んでいます。これは、父親の目線から見ると、持株会社は自分の「代わりに」株式を持ってくれる会社、後継者の目線から見ると、自分の「代わりに」資金調達をして父親から株式を買い取ってくれる会社、つまりはオーナー家の身代りであるという考えからきています。
この持株会社の最大の効果は、株式が将来に渡って分散しないことにあります。個人で所有している限り、相続等により個人間の引継ぎが発生し、高額となった本社株式は分散しやすくなります。しかし、法人所有にすれば分散のリスクはなくなります。あとは後継者へ評価の低い持株会社の株式を確実に引継ぐ事で、株式の承継は完了します。

持株会社のメンテナンス
それでは本題の持株会社のメンテナンスについてです。押さえておくポイントは次の5つです。
①  株価はどうなっているか
②  後継者へ 「100%」 株式を承継できるか
③  さらに本社株式を持ってもらうか
④  持株会社に持たせる不動産はないか
⑤  借入の返済はできるか

①・・・本社株価の上昇を受けて、持株会社はどれくらいの株価になっているか確認します。また、金額だけでなく、株価の性格を知ることが大切です。株価を変動させている主な要因は、利益なのか、配当なのか、それとも株式保有特定会社に該当しているからなのかなど、株価の性格を知ることで今後の変動をある程度予測することができます。
②・・・①で株価が予想以上に上昇していても慌てる事はありません。なぜならば、後継者にその株式を買取る資金があれば問題がないからです。確認するべきことは、持株会社の株式を「渡すべき時に」「100%渡すことができるか」です。将来の株価を知ることは不可能ですが、渡すべき時、つまり名実ともに引継ぐ時までに準備をしておく必要があります。しかし株価が高すぎる場合は、本社からの配当を止めるなど株価を抑える事、49%だけ早目に渡す事なども検討します。また、持株会社の株式が分散している場合は、早急に集約する必要があります。そうでなければ「後継者の身代わり会社」にはなりません。
③・・・本社の株価が上昇すれば、持株会社に株を持ってもらう意味はさらに大きくなります。なぜならば、持株会社は本社に比べ株価が上昇しにくいからです。まだ個人で本社株式を持っている場合、持株会社への売却を検討します。また、後継者が本社株式をお持ちの場合、持株会社に売却することで②の資金とすることができます。
④・・・個人で会社使用の不動産(店舗や事務所、駐車場など)をお持ちの場合、持株会社への売却を検討します。株式と同じく不動産も法人所有とすると同時に、持株会社に収益力をつけることができます。また、株式以外の財産が増え、株式保有特定会社でなくなり株価が大幅に下がるケースもあります。
⑤・・・持株会社には、株式を買い取る際に行った、多額の借入が残ります。借入が多いから株価も安いのですが、経営者にとっては非常に気にかかる点だと思います。持株会社の借入に対する考え方は、返済を急ぐあまり利益を上げすぎると株価は上がるため、「すぐに返す」ではなく「返せる目処をつける」ということです。例えば、本社株式を100%所有すれば、本社からの配当を期待できるので、返済の目処はたちます(この場合、法人間の配当金は無税)。収益力などバランスをみながら運営することが重要です。また、個人に剰余金がある場合、持株会社に増資をすることが効果的なケースもあります。
以上、5つのポイントを書きましたが、持株会社の対応は、株価や資産負債のバランス、経営者の考え方によって100社100様です。上記の項目を中心に、総合的に考え、組合せていく必要があります。
持株会社の承継により、株式の承継は完了することから、持株会社への対応は、事業承継上、最重要事項です。何か一つでも気になるポイントがございましたら、ご相談ください。河野コンサルのノウハウを活かしたご提案をさせていただきます。

 

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