会社法・民法の改正について

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司法書士 小栗 尉司
会社運営や事業活動の法的な基礎となる会社法・民法について、現在大規模な改正作業が進められています。
会社法については、平成18年の会社法施行後初めてとなる本格的な改正案が今国会に提出されています。また、民法については戦後最大級とも言われる大改正に向けて5年越しの作業が行われており、現在詰めの議論が行われています。
今回はこれらの改正について、現在の状況・オーナー企業の皆様にとっての重要ポイントをご紹介させていただきます。
1.会社法改正について
(1)現在の状況
通常国会に会社法改正案が提出されており、今国会での成立が見込まれています。成立した場合所定(1年6ヶ月以内)の周知期間を経て、平成27年中には施行されるものと思われます。
(2)主な改正ポイント
新聞等メディアの報道・解説は、「多重代表訴訟(親会社(持株会社)の株主が子会社経営陣の責任を追及できる)」や「社外取締役(監査役)の要件の厳格化」など、上場企業向けの改正ポイントが中心ですが、本稿では非上場企業・オーナー様にとって関係の深い、
◎特別支配株主による株式売渡請求制度の新設
◎監査役の権限に関する登記事項の追加
の2点について解説させていただきます。
(3)特別支配株主(オーナー)による株式売渡請求について
概要
ある株主(その株主が100%出資している会社を含む)が会社の議決権の90%以上を保有する場合、その他の少数株主が保有する株式を買取ることができる制度です。
オーナーが90%以上の議決権を押さえていれば、少数株主が株式の買戻しに応じない場合でも、取締役会の決議で強制的に100%の支配権を確立することが可能となります。
手続の流れ(※1)
オーナーから会社に対し、価格・取得日等を指定して買取りの承認を請求

取締役会にて承認後、取得日の20日前までに会社から少数株主に通知(※2)

取得日をもって、少数株主からの株式の取得が成立(代金支払い)(※3)
(4)監査役に関する登記事項の追加について
概要
監査役の監査権限を会計監査に限定している会社は、その旨の登記が必要となります。
対応
会計監査に限定している方
⇒登記申請が必要です。
(改正後最初の登記申請時(役員変更等)に合わせて申請すればよいとする方向で検討が進んでいます)。
監査役の監査権限を取締役の業務監査に拡大している会員様
⇒原則として特段の対応は不要です。
しかし、監査役の権限が会社謄本から明確になり(権限に関する登記がない→監査役に取締役監督権限がある)、今後は監査役としての責任がより問われやすくなることが予測されます。顧問税理士などご家族以外の方が監査役に就任されている場合、監査役の責任とのバランスを考慮した人選が必要となりそうです。
2.民法改正について
(1)現在の状況
平成25年に決定された「中間試案」を基に、今年7月の「要綱仮案」取りまとめ・来年2月の「要項案」の答申を目標として現在もなお法制審議会にて議論が進められている段階であり、具体的な施行スケジュールは未確定となっております(平成30年頃になるのではないかと予測されています)。
(2)主な改正ポイント戦後最大級の改正でもあり、改正ポイントは「時効制度の見直し(短期消滅事項の廃止など)」「約款に関する規定の整備」「個人保証制度の見直し」など多岐にわたっております。
本稿では、特に企業オーナー様にとって関心の強い「個人保証制度の見直し」について解説させていただきます。
(3)個人保証制度の見直しについて
現在公開されている資料(中間試案)によると、保証制度の見直しの概要は、下記のとおり、概ね個人保証人を保護する方向での条項が盛り込まれています。

○極度額の定めのない根保証(包括根保証)を禁止する。
(現在は貸金根保証のみ包括根保証を禁止⇒個人が保証人となる場合全般に拡大)
○事業者(会社)の債務についての保証契約は経営者に限定する。
○個人を保証人とする場合、債権者に以下の説明、通知を義務付ける。
・保証契約の締結時に、保証人の責任や保証する債務の内容を説明すること
・保証人に債務の履行状況や遅延した場合はその旨を通知すること
○保証人が個人の場合、裁判所が保証人の支払い能力等を考慮して債務額を減免できる
しかし、中間試案をみると、これらの事項については包括根保証の禁止を除いていずれも「引き続き検討する」との表現がなされており、最終的な結論は来年2月の要項案を待たなければなりません。
(4)経営者保証に関するガイドラインについて
ただし、これらの議論に先行して、平成23年に金融庁が金融機関への監督指針において「経営者以外の個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行の確立」を求めたほか、日本商工会議所と全国銀行協会が平成25年12月に「経営者保証に関するガイドライン」を策定し、今年2月1日より適用が開始されています。
ガイドラインによると、下のような条件が将来に向かって満たされると見込まれる場合には、経営者や法人(会社)からの要望に応じて、経営者本人の個人保証を求めないことを検討することが金融機関に求められています。
○法人と経営者個人の関係(経理・資産等)の明確な区分・分離
○法人の資産・収益力等財務基盤の強化
○財務状況の正確な把握と情報開示を通じた経営の透明性の確保
○経営者等からの十分な物的担保の提供

[参考]経産省HP『経営者保証に関するガイドライン』が2月1日より適用開始です!
http://www.meti.go.jp/press/2013/01/20140130004/20140130004.html

 

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