オーナー企業の非上場株式の評価

株式会社 TMパートナーズiStock_000041587676Small
代表取締役 北口 勝也

オーナー企業の株式の評価は、上場企業のような株式市場がなく価額が明確にないため、親子間などの同族間の恣意的な価格決定を防止することを目的として、財産評価規定が設けられています。
現在この規定は課税のための評価だけでなく、非上場企業の株式の売買について広く採用されています。
また、来年から相続税が基礎控除の引き下げ及び相続税率の見直しなどの改正があり、オーナーにとって影響がより大きくなっておりますので、今回は財産評価規定による評価の方法をご説明させていただきたいと存じます。
オーナー個人が所有する株式の評価の方法は、原則として、たった2通りしかありません。
それは、純資産価額方式と類似業種比準価額方式と呼ばれる評価方法です。
評価額は、この2通りの評価方法により算出したそれぞれの価額を、会社の規模に応じて割合により組み合わせて行い確定します。

純資産価額方式の計算式
純資産価額方式は、仮に清算した場合の株主へ還元する価値を算定する。
すなわち時価の自己資本が株価総額となります。
よって、保有の資産負債の時価が大きく変動しなければ、毎期の利益を元にした内部留保が増えた分だけ株価が上昇します。言い換えれば、赤字を出さない限り株価が下がることはありません。
スクリーンショット 2014-10-27 13.48.04類似業種比準価額の計算式
類似業種比準価額方式は、毎期の企業の業績により価値を算定する。
業績を数値するためには、何か目安が必要であるため、同業種の上場企業の株価をベースにして、その上場会社の業績(配当・利益・純資産)と比較して優劣を比率で算出し、上場株価にその比率を乗じて算定します
よって、毎期ごとの自社の業績とその時の上場会社の株価が大きく影響します。

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私見ですが、それぞれの評価方法の優劣は、現状の上場株価において、自社がよほどの好成績にならない限り、類似業種比準価額方式のほうが安くなる傾向にあるように感じています。

アベノミクスによる上場企業株価上昇が与える影響
上場企業の株価・配当・利益・純資産価額は、国税庁が毎年どの上場企業を採用するかを決めており、事前にデータを推測することは難しい面があります。
非上場株式の評価方法の一つである類似業種比準価額方式は、自社の実績もさることながら、基準となる上場会社の株価・実績も重要となります。
そこで、類似業種比準価額で最も評価額に影響のある「上場企業株価」を推測するために大きな目安とされるのが、日経平均株価ということになります。
現状の日経平均株価で見ますと、アベノミクスによる影響で、平成24年年間平均株価は9千円前半でありました。それが、平成25年年間平均は13,000円台にまで上昇しました。
そして今年も株価が上昇しており、今日現在(7/30)で15,600円台となっています。
アベノミクスの影響による類似業種比準株価の特徴として、上昇を続ける場合は、上場企業株価の最も有利な株価は、常に前年の平均株価になるというところです。
言い換えれば、平成27年になると前年平均は平成26年の平均株価になるため、類似業種は上昇するということになります。

この上昇が実際どのくらいの影響があるか設例で分析してみます。
<設例>不動産業の場合
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このように去年と今年を比較すると、自社の業績が変わらなくてもかなり上昇していることがおわかりいただけることと思います。
他の業種で同様の評価をしてみますと、以下のとおりとなりました。

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上記のように、日経平均株価で平成24年平均は9,000円台から平成25年平均は13,000円台への上昇率とほぼ同じ推移をたどっていることがわかります。
今年に置き換えて考えてみますと、日経平均株価は16,000円台に近付く推移をたどっており、このままいけば今年の平均株価が前年比で上昇する可能性はかなり高いと思います。
ここで注意が必要なのは、この前年年間平均が使える期間が決まっていることです。
平成25年が前年となる平成26年である今年中となります。
課税時期が来年になれば、前年平均は平成26年年間平均となりますので、また来年の6月頃に国税庁より発表される平成26年平均の数値を使うことになります。
繰り返しになりますが、類似業種比準価額を算定するうえで基準となる株価が去年と比べてかなり上昇しているため、全ての業種について前年平均株価が最も低い価額となっており、そしてこの数値が採用できるのは今年中となりますので、ぜひ一度試算をされることをお勧めいたします。

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